研究者視点での幸福最大化

人は先天的な性格や後天的な環境に応じて視点、観点、ものの見方、捉え方を形成していく。もちろん研究者には研究者特有のものの見方がある。これを人生に応用すれば幸福達成に寄与できるかもしれない。この記事の目的は、研究者特有の視点を用い、幸福達成のための考え方を示すことである。

 

まず一般論から入ろう。研究者は下のようなものの見方をするかもしれない。 

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XがYに影響を与えているとする。もしYが重要なら、「Xを適切に操作することで所望のYの値を実現しよう」という発想に至るだろう。一般向けの表現だと、所望のYを実現するための「コツをつかむ」「ポイントを知る」あたりだろうか。

 

さて、人生の目的は幸せになることである。なのでYに幸福度を代入する。(そんな一語で表せるわけがないとの批判もあるだろう。しかし、人生に目的があるとすればそれは感情に関わるものであろうから、端的に「幸福」と表現しておく。)

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幸福度に影響を及ぼす因子は何であろうか。様々考えられるが、大きく分けて内的要因と外的要因がある。

内的要因は価値観や視野の広さなどだ。土曜の夜に「休日があと半分しかない」と思えばブルーになり、「まだ半分もある」と思えば気分良くなるようなものだ。内的要因の重要性は経済学のプロスペクト理論でも主張されている。この理論の主張の一つは、「実態が期待を上回れば幸福を感じ、下回れば不幸に感じる」ということだ(cf. 参照点)。すなわち、幸福度は事前の期待に依存するということだ。だから他者や物事に期待しないことが大事と言われるのだ。

外的要因は環境や状況などだ。これによって幸福度が左右されることは皆知っているのでこれ以上言及しない。

これら内的要因と外的要因が幸福度に影響を及ぼす。したがって、内的要因と外的要因を適切に操作して幸福最大化を目指せばよい。・・・確かにその通りだが、多少の注釈が必要である。

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価値観などの内的要因はアイデンティティや個人の存立基盤に関わる重要でセンシティブなものである。なので全てを変えるわけにはいかない。譲れないものもあるだろうし、むしろあるべきだ。ただ、全てを譲れないわけでもないだろう。価値観には譲れるものと譲れないものがある。それを適切に見極めるには、普段から自分の内面に向き合う癖をつけると良いかもしれない。「自分が何を思い、何を考えているのか」と折に触れて考えるのだ。また、クリフトンストレングス(ストレングスファインダー)、MBTI、エニアグラムなど、人の性格を体系的に述べたツールについて学ぶことも有効である。そうすれば人の価値観をおおよそ網羅できるので、自分の価値観を相対化できるだろう。これを繰り返すことで「ここは譲っても良い」「ここは譲れない」という線引きが少しずつ見えてくるかもしれない。

また、外的要因には変えられるものと変えられないものがある。職場を変えることは(多くの場合に)可能だが、自分の生まれた年や場所、環境を変えることはできない。2020年度の高校3年生は修学旅行に行けないだろう。第三者が偉そうに言うことではないが、こういう変えられない部分は受け入れるより仕方がない。その一方で、変えられる部分についてはどんどん変えればよい。「男だから」「女だから」「もうこんな歳だから」「まだ若いから」「自分はこんな性格だから」などと諦めてはいけない。人生は幸福最大化ゲームであり、全ては幸福最大化のために設計されるべきだ。年齢、性別、性格などに囚われて己の可能性をふいにする行為はおそらく幸福最大化に繋がらないだろう。

 

この記事の内容は当然のことが多かったかもしれない。また、具体的な話をほとんどしていないので、「だから何やねん」と言いたい人もいるだろう。それでも、この記事には以下のような価値があると考える。

  • 幸福を実現する上で内的要因の重要性を指摘したこと
  • 今後様々なことを主張する上での理論的支柱になること

この記事を本ブログの他の記事と紐づければ、見えてくるものもあるかもしれない。